平成の世が今まさに終わりを告げようとしている。
なんて冒頭書いてはみたが、筆者は平成の世に対して何の思い入れもない。
新元号が発表になる直前、回顧ブームに便乗してみようかとちょっと考えた次第だ。
そんな緩く思ったところで、３０年の時間を振り返る力も沸いてこない。
「知的なアホを３０年間目指してきたな」と、自分自身を振り返る程度だ。
そんな振り返りはいらんし、誰も興味はないだろう。
そんな折、野口悠紀雄先生の『平成はなぜ失敗したのか「失われた３０年」の分析』が、書店で目についた。
野口先生のお力をお借りして、別途それなりの時間を設けて、平成３０年間を個人的に検証したくなってきた。
終わりがあれば、始まりは必ずある。
それでは、平成の始まりの頃をピンポイントで思い出してみるか。
西暦だと１９８９年が平成元年。
勇者ヨシヒコのメレブの呪文「イマサーラ」にかけられて、当時の流行語を思い出してみる。
「２４時間戦えますか」
栄養ドリンク「リゲイン」のTV CMのキャッチコピーが蘇る。
時任三郎がCMソングを歌っていた。
時はもちろんバブル絶頂期。
日経平均株価は、３万円を超えていた。
当時の筆者は、残念ながら社会人ではなかった。
２０代、３０代の社会人の皆さんが、バブルを謳歌していたのを間近で見ていた。
素直に羨ましかった。
「２４時間戦えますか」
男どもは、このＣＭソングはよく口ずさんで、浮かれ気分で本当に楽しそうだった。
あの頃出会った社会人の皆さんは、今でも同じように調子コイているのだろうか。
今では５０代半ばから６０代にいよいよ突入といったお歳の頃の人達だ。
当時は、幸運にも社会人としてスタートダッシュを決めたようだった。
「始めよければ終わりよし」とは、 最初が肝心なので、焦らず慎重に物事は始めろという格言だ。
就職活動から企業にチヤホヤされ、慎重に社会人を始めたようには到底見えなかった。
所謂「バブル世代」の男性陣は、特に見えなかった。
筆者はバブル世代よりちょっと後の世代で、本当に幸運だったと思う。
社会に出てからずっと見事に「失われた３０年」。
生きる知恵をアホなりに、自分の力で考えることができた。
バブル絶頂当時は、２４時間働かなくても、多かれ少なかれ好景気を皆で享受できた。
お花見の宴席に浮かれている日本人を、出稼ぎ外国労働者は羨ましそうに眺めていた。
上野公園の桜の季節の風物詩だった。
日本人というだけで景気がよかった時代があった。
「２４時間戦えますか」 のＣＭソング。
歌のタイトルは、「勇者のしるし」。
バブル期を謳歌した男性サラリーマンのテーマソング。
長時間労働を最高の美徳としていた。
頭を使わなくても、長く働くことさえできれば、何かしらの成果は得られた時代だったようだ。
「イマサーラ」の呪文が解けると、恥ずかしい歌詞ではある。
そして３０年の時が経った。
働き方改革が大合唱の今現在、「２４時間戦えますか」とは大ぴらには言いにくい。
ただ、皆がワークライフ・バランスを一斉に主張している今こそ、頭を２４時間フル回転させてビジネスに立ち向かえば、大勢より大きな成果を得られるだろうになあ。
え、成果を大して求めてなくても「２４時間戦えますか」をしている人が、今現在でも一定数いらっしゃる？
おお、いるではないか！
今では５０歳を超え、若手の頃にバブルを謳歌した男どもが！
今でも「長時間労働」というお仕事をしている人達ではないか！
「長く働くことができる」ことを参入障壁に、生き残ってきた男性サラリーマン達だ。
今まさに、女性と外国人にその働き方を駆逐されようとしている。
「オレは仕事をやり切る」とも主張をするが、「成果」を求められるのをなるべく避ける人達でもある。
今まさに、その生産性の低さから職を失おうとしている。
平成の始まりの「勇者のしるし」は、平成の終わりには「弱者のしるし」になっていた！
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リゲインを購入したくなり、ファミリーマートとセブンイレブンと近所のスーパーと３店舗をはしごしたが、売っていなかった。どこで売っているのでしょうか？
