正社員フリーター × 複業のBLOG

出世を目指すのとは違う、自由に働く努力 それが正社員フリーター × 複業(副業)

拙著『積極的副業人材』 http://amazon.co.jp/dp/B08BNJP42X/ 出世を目指すのとは違う、自由に働く努力。それが正社員フリーター × 複業。誰でも、もっともっと自由に働ける。外資 × バックオフィスで自由な正社員を20代から実践。40代後半になって、働き方、転職、複業(副業)のアウトプットを始めたこの頃。働き方の流行には注意喚起もする。 Twitter @ISehaooooo

【1社目】大岡裁きか桜吹雪を眼に入れたかった1ミリ以内の精度を求める理不尽な仕事だった!

「貴方の仕事は今日からこれ。」
E課長からある朝突然命じられた仕事は、なんとファイリング作業だった。
ちょっと頭が混乱したが、「はあ.....」と、無気力に返答したことをよく覚えている。
何を言ってもE課長から頭ごなしに怒られるので、筆者のほうから特に質問をすることもなかった。
アルバイトの主婦の方から、淡々と引き継ぎをした。
驚いたのは引き継ぎをする主婦のほうだった。
「え、谷川君がこれをするの!?」

当時の筆者は、社会で飯を喰っていけることを主眼に働いていた。
ファイリング作業がスキルにならないことなど、無論秒殺で理解できた。
ただそれ以上に、静かに働きたい気持ちもあった。
「ああ、今日もあのヒステリーに怒られに会社に行くのか。」
朝の通勤電車でそう思うようになった。
気がめいるというより、次第に何も考えなくなっていった。

大量の受信FAXや社内文書を整理整頓し、用紙を重ねて紙ズレなくパンチで穴を開け、所定のファイルに閉じる。
見事にただのファイリング作業。
1日するには時間を持て余してしまうが、余計なことをすると怒られてしまうので、ファイリング作業だけを黙々とやった。
周囲はというと、筆者に対する懲罰的なものを感じ取っていたようだ。
同期の女性達は優しかったので、筆者に同情的となり、会社に疑問を抱くようになった。

ファイリング作業をして1週間ぐらい経った頃。
E課長は筆者の机の上に、ファイルの束を無造作に置いた。
E課長の顔を見上げれば、永遠の曇天のようないつもの表情だった。
「この人、生きていて何か楽しいことがあるのだろうか?」

筆者が今現在までよく使うこのフレーズ。
最初にそう思ったのはE課長だったと思う。
つまんなさそうに働いている人に出会うと、筆者はいつもこう考える。
「この人、生きていて何か楽しいことがあるのだろうか?」
社会に出たら、人は働くことに多くの時間を費やす。
つまんなく働いていたら、生きていること自体もきっとつまらないものだろうと考える。
働き方は生き方と直結するものなのだ。
働く時間を楽しくすることは、ワークライフバランスの改善では決して解決はしない。
楽しくなくても働かなくてはいけない人がいる事は理解している。
「楽しい」「楽しくない」を判断基準に働いている筆者は、幸せ者なのだろう。

「この雑なファイリングの仕方、どういうつもりですか!!!」
と、E課長は筆者を睨み付けた。
「こんな雑なファイリング、今まで見たことはありません!!!」
「これでは次に進めませんから!!!!!」
お約束のヒステリーで、綺麗にファイリングされていないと申された。
怒られ疲れで、筆者は慌てずもせず、ファイルを力なく確認した。
主婦アルバイトのファイリングと比べても、同じような出来栄えだと思った。
「課長は紙ズレ1ミリ以内の精度を求めているのかなあ。」
筆者は唸ってしまったと同時に、本当に弱ってしまった。
「これ以上、完璧にやるなど無意味だ。」
心の中でそう呟いた。

E課長の主観で判断されては、筆者に100%勝ち目はなかった。
アウェーゲームどころか、「中東の笛」以上に不利なゲームに参加していた。
フィギュア・スケートのような採点を争うスポーツなら、第三者機関に採点の異議を申し立てることができるだろう。
もちろん、西池袋の外れの雑居ビルには、公平な裁きの場はなかった。
オフィスの一角にお白洲があって、大岡越前か遠山の金さんが裁いてくれるわけもない。
社内を見渡しても、加藤剛も松方弘樹もいなかった。
裏稼業に依頼という手もあったが、中村主水役の藤田まことも当然いない。
「機械で完璧に紙ズレしないのなら、ファイリングの機械を自腹で買ってしまおうかな。」
筆者は真面目にそう考えた。
E課長の怒りを耐え忍べは、必ず道は開けるとも考えていた。
その気力もE課長の理不尽がさらにエスカレートし、次第に萎えていった。
(つづく)

  遠山の金さんを演じた俳優はこんなにいるのか!

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