正社員フリーター × 複業のBLOG

出世を目指すのとは違う、自由に働く努力 それが正社員フリーター × 複業(副業)

拙著『積極的副業人材』 http://amazon.co.jp/dp/B08BNJP42X/ 出世を目指すのとは違う、自由に働く努力。それが正社員フリーター × 複業。誰でも、もっともっと自由に働ける。外資 × バックオフィスで自由な正社員を20代から実践。40代後半になって、働き方、転職、複業(副業)のアウトプットを始めたこの頃。働き方の流行には注意喚起もする。 Twitter @ISehaooooo

【1社目】スタンディング・オベーションの栄誉に浴するファイル作業だった!?

紙ズレ1ミリの誤差も許されないファイリング作業。
E課長の理不尽な要求に、筆者は閉口していた。
人間の能力の限界を超えている。
厚い紙の両端を綺麗に揃えられる機械があるのなら、自腹で購入しようと筆者は真面目に考えた。

そんな最中、E課長のヒステリーがまた稲妻の如く飛んできた。
「こんな雑なファイリングは見たことがありません!!!」
「すみません。。。。。」
筆者は何も考えず、素早く頭を下げるしかなかった。
ん!?  ん!?  ん!? 
でもそのファイル、よく見てみたら古いファイルだった。
なんと、なんと、主婦アルバイトの方がファイリングしたものだった。
筆者はE課長の間違いを指摘しなかった。
アホらしさがK点越えをしていた。
主婦アルバイトが、ちらっちらっと筆者に眼をやり、申し訳なさそうな顔をしていた。
「谷川君ごめんなさいね。私のせいで。。。。。」
しばらくして、小声で筆者に謝ってきた。
「しょうがないですよ」と、筆者は苦笑した。
普通の人間の能力の範囲内で、筆者は単純で退屈なファイリング作業に黙々と励んだ。

この話には後日談がある。
この1社目を退社後、筆者は「男性なのに綺麗にファイルする人」と、度々褒められた。
2社目、3社目での出来事だった。
栄誉の時だった。
ホントに栄誉か???
まあ栄誉としておこう。
栄誉であるなら、1社目でお世話になった皆さんを含め、大勢の人達とこの喜びを分かち合えたら良かった。
スタンディング・オベーションに迎えられ、壇上でオスカー像でも掲げるような機会があったら、それは最高の瞬間だろう。
「まず、我が師E課長に感謝を。今の私があるのは彼女のお蔭。。。。。」
なんて、アカデミー賞の受賞スピーチよろしくできたら、さらに大爆笑ものである。

もしE課長に今お会いできたなら、筆者が後にファイリングを褒められた事実だけはお伝えしたい。
ただ、E課長に鍛えられたことを御礼申しあげるのは、ちょっと勘弁だ。
どう客観的に見ても、当時はただのイジメだった。

下足番を命じられたら、日本一の下足番になってみろ。
そうしたら、誰も君を下足番にしておかぬ。

明治生まれの実業家、小林一三のお言葉だ。
「ファイリングの先には、一体何があるのだろうか?」
当時の筆者には疑問だらけだった。
「よーし!日本一のファイリング作業者になってやるか!」
「豊臣秀吉は草履取りから天下を取ったではないか!」
社会人2年目なら、このくらい単純で前向きな姿勢があってもよかったが、なにぶん未熟者だった。

「次に進めませんから!!!!!」
E課長の絶叫に、筆者は疑問しか思い浮かばなくなった。
情緒不安定な上司(E 課長)の評価や、頭の弱いその上の上司(C営業部長)の評価など、生意気にもあまり気にしていなかった。
ファイリングがいくら上手くなっても、社会で飯は喰ってはいけない。
その思いのほうが強かった。
今の時代、下足番を命ぜられたら、一生下足番になる可能性もあるのだ。

そして季節は梅雨が明け、7月後半となった。
筆者は外堀だけでなく、内堀も埋められようとしていた。
気分は大阪の陣の豊臣方のようだ。
1996年の夏は、筆者個人にとって本当に暑苦しかった。
E課長の筆者に対する猛攻は、決して夏枯れすることはなかった。
もしE課長が戦国時代に生まれていたなら、「不死身の鬼美濃」とか異名をとり、侍大将にでも出世していたことだろう。

You just haven't earned it yet, baby
You must suffer and cry for a longer time

お前は何かを得るにまだ値していない。
もっと苦しみ泣かなければいけない。

イギリスのバンドThe Smithsの歌詞が、筆者の頭の中でリフレインしていた。
(つづく)

 ファイル作業で観客総立ちの拍手喝采は、夢のまた夢。

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