(①からの続き)
「楽して、短時間で、まとまったお金が得られる副業あるよ」と、子供騙しのような謳い文句に手を出すのは積極的な行動のようだが、その主たる動機となると、やはり本業の給料の補填となるのだろう。
「消極的副業人材」とは、本業の勤務時間外に”止むを得ず”と、消極的な理由で副業をする人材を指している。
流行りの副業の2文字を頂戴してはいるが、昔からある会社員の小遣い稼ぎ、会社に隠れてこっそりやっているアルバイトのようなものだ。
要するに、本業では稼げない人、稼ぎが十分でない人の臨時アルバイトだろうか。
それには競馬やパチンコ、懸賞のようなものも含まれるし、コンビニや倉庫や工場での軽作業も含まれる。
本業とは関係性が無いものが大半を占めるだろうと想像できるし、またギャンブルや投機のように継続的な収入が見込めないものも含まれるだろう。
消極的副業人材は、まずは本業に集中して本業で稼げる人材になるか、低コストで生活できる術を身に付けるべきだ。
急がば回れだと教えてあげたくなるのだが、人にはそれぞれ事情があるのだろう。
消極的副業人材が産まれる背景には、サラリーマンの手取り給料が増えていない実情も大いに関係している。
過去20年の賃金上昇率の平均伸び率はマイナスであるし、増税に加えて、ワークライフバランスの名のもと残業代も目減りしている。
企業は社員の給料の支払いよりも内部留保に熱心だし、早期退職制度にも積極的だ。
相次ぐ企業の副業解禁は、対外的には自由な働き方を積極的に推進しているかのように見えるが、社員に向かってはお前ら自分達で勝手に食い扶持を探せといったところが本音だろう。
お堅い企業までも副業解禁と話題にはなるが、企業の副業人材の受け入れは大して話題となっていない。
- 副業人材の受け入れが企業側で進まない理由を考えてみた!
freeterbutworkasafulltimeworker.hatenablog.com
社内で通用するキャリアのみに長年磨きをかけてきた人材にとっては、副業解禁は嬉しくないどころか、生存を脅かされる気候変動のようなものかもしれない。
大樹の枝から枝に移動してきたサルに、木から降りて原野を二足歩行で歩いていけとある日突然命じても、それは無理な話なのだ。
ワークライフバランス、働き方改革、副業解禁といった「働き方の流行」は、令和の世になっても残酷な末路となるのであろうか。
その一方で、働き方改革を前輪に副業解禁を後輪として、スイスイと前進している人材も存在する。
このような人たちを、筆者は「積極的副業人材」と呼んでいる。
(③につづく)