正社員フリーター × 複業のBLOG

出世を目指すのとは違う、自由に働く努力 それが正社員フリーター × 複業(副業)

拙著『積極的副業人材』 http://amazon.co.jp/dp/B08BNJP42X/ 出世を目指すのとは違う、自由に働く努力。それが正社員フリーター × 複業。誰でも、もっともっと自由に働ける。外資 × バックオフィスで自由な正社員を20代から実践。40代後半になって、働き方、転職、複業(副業)のアウトプットを始めたこの頃。働き方の流行には注意喚起もする。 Twitter @ISehaooooo

部下を売り飛ばそうとした人

「谷川さんの部署のスタッフレベルの人って年収どのくらいなの?」
唐突に事業部長のNさんからの内線だった。
「え、いきなりどうしたのですか?」
筆者はやや怪訝に返事をした。
「いやさ、ちょっと興味があってね。例えばの話、うちの事業部から谷川さんの部署に異動して、いろいろとギャップとかなるのかな?」
と、N事業部長と続けた。
筆者はさらに困惑し、聞き返した。
「え、どういう事ですか?」
Nさんはどことなく落ち着かない声で、「いやさ、うちの事業部の人間が活躍できるのかなと思ってさ」と聞いてきた。
「まあ、キャリアパスとしては若い人ならあるのかもしれませんが。でも営業からの転身だと年収が下がってしまうケースもあると思います」と、筆者は答えた。
「あ、そうなんだ。教えてくれてありがとう」と、Nさんは内線電話を切った。
へんな内容の電話だと筆者が思ってから、暫くの後、今度は筆者の会社の携帯にNさんから着信があった。
「あ~谷川さん。例えば、例えばですね。仮に30歳過ぎた人材で未経験者とかどうかな?」
と、Nさんはモヤモヤした質問を再度投げかけてきた。
「厳しいかもしれませんね…」とだけ筆者は答えた。
暫くしたら、またまたNさんからの着信だった。
「妻子ある人間だったら、谷川さんの部署のスタッフレベルの給料では厳しいかなぁ?」
筆者もさすがにイラつきながら、「何か具体的な話でもあるのですか?」と聞き返すと、「いやぁ、仮の話だよ」とNさんは笑いながら答えるのみだった。
その夜、筆者は仕事帰りにノエル・ギャラガーの来日公演に立ち寄った。
ライブ会場に到着してからもNさんからの着信があったが、筆者は思いっきり無視した。

翌朝、通勤中にメールをチェックしていたら、ビックリ仰天した。
Nさんが人事マネージャーに五月雨式にメールを送っていた。
その内容は、Nさんの部下のWさんが筆者の部署に異動するものであった。
人事マネージャーが心配になって、途中からCCに筆者を入れてきたメールが眼に飛び込んだ。
“それで、Wさんの谷川さんの部署への異動の件は、谷川さんは了解しているのでしょうか?”と、人事マネージャー。
“さわりだけ伝えていますが、大方合意しています”と、Nさん。
な、なんだと!この嘘つき。
まさに寝耳に水。
すかさず筆者が猛烈に抗議したら、Nさんは慌てて弁明の電話をかけてきた。
放出しようとしていたWさんが落ちこぼれな様を含めて、言い訳を並べた。
「こっちもいらないですよ」とつっけんどんに突き返した。
「そ~だよね~」とNさんはバツが悪そうにギャグっぽく答え、通話は終わった。

その後間もなくして、Wさんは退職した。
Wさんだけでなく、Nさんの優秀な部下も「あの人の下は嫌 」と、会社を去った。
Nさんの事業部には優秀な人材は集まらなかった。
筆者がNさんに出会った頃、「妻子持ちで住宅ローンなど借金を背負った人間かどうかを確かめてから、私は部下を採用します。キツイことをしても逃げないですからね」と、ご自身の採用ポリシーを披露してくれたことがあった。
Nさんは、松崎しげるのような色黒の肌に白い歯をニカっとさせていた。
部下を育てられない以前に、採用もまともにできない人だった。
いい加減な採用をするマネージャーは、部下を簡単に捨てようとするものだ。
人は人形やぬいぐるみのようにポイ捨てすることはできない。
そして、採用の失敗は入社後には挽回できないのだ。

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