転職先が福井県の池田町のようなこともあった。
新参者を容易にウェルカムとせず、“我が社は~”うんぬんと説教じみた職場と、池田暮らしの七か条の町は同じだと思う。
私の転職は、その背景から転職先で風当りが強いものが多い。
30代前半の転職の2回は、ダメな50代の古参オジさん担当者を追い出す為の求人だった。
その後30代後半から50歳までにした転職は、前任の部門長を事実上更迭にした直後にそのポジションに着任するものや、内部登用はせずに社外から敢えて人材を求めた企業への転職がほとんどとなっている。
そもそも私は業務改善が屋台骨にある人材なので、着任しただけで社内の現状維持派は普通に緊張をしてしまう。
「集落の一員であること、池田町民であることを自覚してください」(第1条)のように、「この部門の一員であること、この企業民であることを自覚してください」と、入社早々から先頭に立って圧をかけてくる古株たちはどこにでもいる。
古株といっても必ずしも中高年とは限らない。
転職をしないと30代前半でもう古株になっている若年寄もいる。
「集落は小さな共同社会であり、支え合いの多くの習慣があることを理解してください」(第3条)のように、「我が社は家族的に支え合いの習慣で、多少は生産性が落ちても皆でやり続けている」と、老いも若きも、こぞって抵抗を示すこともある。
「これまでの都市暮らしと違うからといって都会風を吹かさないよう心掛けてください」(第4条)のように、「君が以前いた有名大企業とは違って、うちはうちのやり方がある。前の会社は◯◯(社名をわざと微妙に間違える)だっけ?」と、サポートを貰えるはずの上司まで、負け犬感と言うかコンプレックス感丸出しで、つまりは社内の波風を立てたくないと仰せの場面もあった。
「多くの人々の注目と品定めがなされていることを自覚してください」(第5条)とばかりに、現場のボス的な声が大きいから勝ってきた中高年の手先のような若者たちが、仲間入りへの歪んだ愛情表現とばかりに新参者にチクチクと攻めてくることもあった。
企業から品定めをされているのは自分たちのほうであることに気がつかないほど、馬鹿な人材の集まりだったのであろうか?
全国各地の地方でも池田町の七か条と同じような価値観なのだろうとは想像できる。
しかし東京で暮らしていても、転職をすれば白昼に池田町気分になれることもある。
価値観を更新できない個人や集団は、必ずや衰退をする運命にある。
これだけは絶対に忘れないようにしたい。