正社員(複業)フリーターの Blog

出世を目指すのとは違う、自由に働く努力。それが正社員(複業)フリーランス。

出世を目指すのとは違う、自由に働く努力。それが正社員(複業)フリーター。誰でも、もっともっと自由に働ける。外資系企業を中心に、自由な正社員を20代から実践中。40代後半になって、働き方、転職、サラリーマン ✖ 副業(複業)のアウトプットを始めたこの頃。 Twitter @ISehaooooo

【1社目退職】やりたい事のイメージだけでは職にはありつけない事に気がついて職を得ることができた!

「貴方は健康ですか!?」
「ご両親は健康ですか!?」
「貴方は健康ですか!?」
1997年2月中旬、無職の筆者は再就職を目指して面接に挑んだ。
ずっと無言のまま鋭い眼光を投げかけていた溝田社長の質問はこれが全てだった。
面接をリードしていた新谷さんは、やや恥ずかしそうな表情を浮かべていた。

ん?ん?ん?これは何かのひっかけなのか?
そうではなく、ただ単純に、溝田社長がご自身の健康に疑心暗鬼なだけであった。
後に知るのことになるのだが、60歳を超えた溝田社長のお悩みは、ご自身の健康といい年齢になってもプラプラしている次男坊の2つだった。
健康診断を受けて悪いところは何も発見されないのに、自分の身体はどこか悪いところがあるに違いないと疑っている始末の悪い御人だったのだ。

『四十にして惑わず。五十にして天命を知る。六十にして耳従う。』
人というものは歳を重ねると、40歳で戸惑うことがなくなり、50歳で天命を悟り、60歳で何を聞いても動じなくなるはずなのに、筆者はそのような御人にお会いしたことがない。
当時26歳だった筆者は、大人とは『論語』の為政に書いてある人だろうと少しは考えていたが、30歳を過ぎた頃には、そのような人物はこの世にはいないことを理解した。
筆者は保育園児の頃、サンタクロースは実在すると信じていた。
それ以来の敗戦気分になったのが、『論語』のような大人は実在しないと分かった時だ。
ただし、天命を悟ることを誤訳して、あきらめの境地の人は40歳ぐらいから大勢現れる。
皆が足を止めたころに猛然と努力すれば、普通に勝ち続けられる。
40歳を超えた皆様、是非お試しください。
お薦めしたところで、実際にやる人は滅多にいない。
人が歩かない道を行くというのは、こういう事ができる変態チックな人間だけだ。

「貴方は健康ですか!?」
この質問に溝田社長はどのような回答を期待していたのだろうか?
「最近は歳を感じ、健康診断に引っかかりました。社長はお元気そうで何よりです。」
「健康雑誌の『爽快』を毎月購読しておりまして、タマネギを食べて血をサラサラさせるように努めております。」
とでも答えておけばよかったのだろうか?
兎にも角にも、ややお笑いもあった面接は1時間余りで無事終了した。
追って合否のご連絡を頂けるとのことであったが、手ごたえは感じなかった。
しかも1名の募集に対して100人超の応募だ。
今回ダメでも、次の面接の役に立つだろうと気持ちは切り替えていた。

3月になればヘール・ボップ彗星が夕方の空に輝きを増すだろうから、この時期に無職なのも悪くはないと内心思っていた。
その一方で、無職になって早や3ヶ月、応募したのはたった1社という活動状況をどう評価していいものか、悩みどころだった。
正月休みを挟んだといえ、かなりスローな状況だろう。

やりたい事など具体的にない人間だったが、就職先はどこでもいいわけではなかった。
やりたい事がなかったので、片っ端から応募をすることもできなかった。
当時の筆者は、求人広告を選んで応募することもできない下層レベルだった。
しかし、当時の筆者にやりたい事が具体的にあったらどうだっただろうか。
下層を漂う26歳のやりたい事など、狭く盲目的なイメージしか創れなかっただろう。
陳腐なバイアスが利いた頭で応募を増やし、どこかに引っ掛かり職を得たところで、入社したら違いました、またダメでしたとなる確率が高かったのではと考える。
今に振り返ると、当時は飯を喰うのが精いっぱいで、やりたい事を考える余裕がなかったのが良かったと思っている。
やりたい事を選べるのは勝ち組の特権だ。
下層はやりたい事のイメージが精いっぱいだ。
当時の筆者は、少なくともこの点は勘違いはしていなかったと思う。

面接から1週間も経たぬうちに、ある日電話が鳴った。
「谷川さんのお宅でしょうか?」
溝畑社長の声だった。
「はい。」
「谷川さんおりますか?」
携帯電話が普及していない当時、固定電話の谷川宅の電話であることを確かめたのなら、次に確認するべきは下の名前ではないのか。
なかなか面白い電話のやり取りだったので、ちょっと可笑しかった。
「はい、恵長です。」
と答えた。
「あなたに決めましたから。」
え!?え!?え!?
内定ですか!?
「ありがとうございます。よろしくお願いします。」
とっさに筆者は答えた。
筆者の再就職活動は、見事にあっさりと終わった。
筆者の心は、路地裏の狭く短い階段を上った気分だった。
(1社目退職編おわり)

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