ソーシャルメディアはキャリアの自己開示が百花繚乱のようで、Twitterをちょっとスクロールしただけで奮った呟きが眼に入ってくる。
“ビジネスを始めて本気出したらなんと…収入が30倍になった。“
“3年間は飲まず食わず寝ずで必死に働いた。”
“仮装通貨詐欺で150万失った経験から学びましたが…”
“2億円無くして取り戻した私が言うから間違いない。”
“正直に言いますが年収5000万を捨てました。”
嘘か真かの当てすらも無いけれども、ド派手なツイートにはお腹いっぱいであり、そもそも真似ができるものなのだろうか。
もしあなたが20代なら、筆者から”地味”だけれども誰でもできそうなキャリアのアドバイスをしてみよう。
作業者は30歳を超えるとずっと作業者のままでいる。
作業者から抜け出せるのは20代のうちだ。
アドバイスはこれだけだ。
“威張っている”だけの職場の先輩をよく観察して欲しい。
彼ら彼女らは作業者であり、積み重ねが少ない業務に従事しているから、歳を重ねて威張ることぐらいしかできないのだ。
会社から成長と裁量権を餌にされて仕事権に精を出しても、低スペック人材の中からほんの少し抜け出すような成長や、オフィスの清掃当番を決める裁量権だったりするものだ。
ベンチャーと称する中小企業には30代前半で若年寄りのような人材がいるが、成長と裁量権を建前に、長い間作業をやらされてきたのだ。
同じ職場で同じ年収の28歳の専門学校卒の2人がいた。
8年が過ぎ、2人の年収に300万円の差がついていた。
A君は作業者のままでいたが、B君は計画系の業務に従事していた。
36歳で作業者のA君は、国税庁の「令和2年分民間給与実態統計調査結果」による、2020年の日本人の平均年収433万円とほぼ同額だった。
一方のB君は30歳手前で作業者から抜け出す計画をし、転職を実行に移した。
転職先で実力をつけ、計画系の業務にありつき、同じ36歳で年収は750万円を超えた。
2人は久しぶりに再会し、お互いの仕事の近況を交換した。
A君はB君から計画系の仕事を説明されたが理解できなかった。
いつの間にか、A君が知る現場とは毛色が違う人たちとB君は働いているようで、何となくA君が分かったことはそれだけだった。
30歳を超えて作業者から抜け出せる人は少ない。
派手好きなソーシャルメディアの住民からは無視される、とても地味な年収300万円の差のつけ方を20代に教えてあげたい。
そう思う時期が筆者にはあったが、余計なお節介であると今では理解している。