多重転職者を大いに勇気づける番組があった。
NHKスペシャル“中流危機”を越えて 「第1回 企業依存を抜け出せるか」(初回放送日: 2022年9月18日) だ。
日本人は理想の働き方として、自分の仕事人生どころか自分の人生丸ごとや、家族の将来すらも企業にお任せの終身雇用をいまだに支持している。
40代半ばで人材コンサルタントに転身した御人が、「本当は大企業に就職して長く働き続けたかった」と、本音を漏らした悲喜劇を私は目撃したこともあった。
番組の中で、20年間同じ企業に勤めていて、基本給が5万円しか上がっていない人を紹介していた。
普通の感覚の持ち主ならば、とっくに転職すると思うのだ。
あいにく普通の感覚の持ち主は少数派のようで、日本の全世帯の所得の中央値はこの25年間で505万円から374万円に減ってしまった。
その一方で、転職でキャリアアップを支持する人は僅か24%となっている。
ボロクソに批判されてしまう内閣の支持率よりも低い。
おかげで、転職市場にライバルも少ない。
たかだか転職ぐらいの小さなリスクを取るだけで、日本では勝ち組になれるチャンスが大きいのだ。
転職できる能力というよりも、転職のやり方を知っている、転職を経験しているだけでも有利となるだろう。
また、番組の中で「努力しても豊かになれない」と考える若い世代が増えていると紹介をしていた。
それを横目に自分が努力をすることに集中をすれば、ライバルにさらに差をつけることができそうだ。
日本では起業をするたいへんな努力までは不要で、転職ぐらいの簡単な努力で大丈夫だ。
これは素晴らしいことで、改めて日本はいい国だと思った次第なのだ。
就職活動が出身大学名で決まってしまうと嘆くなかれ。
新卒入社以降の長い仕事人生の道程は、転職がある働き方によって決まるのだ。