(②からの続き)
部門の立て直しのため、ダメなマネージャーを追い出すために入社したことが3回。
ダメなおっさん担当者を追い出すために入社したのが2回。
素人のおじさんから引き継ぐために入社をしたことが1回。
問題があったマネージャーが退職するので、その後任として入社したことが1回。
このような事情での転職ばかりなので、「おっと、君とは乾杯しない」と、入社初日の夜の歓迎会で、ウェルカムどころではない100%嫌な態度を取られたのが前回のお話。
そことは別の会社では、入社して2週間ほど経ったある日のことだった。
50代半ばのおっさんに質問をしたら、「教えるのは嫌だね!」と、全く予期せず、怒りながら返事をされた。
どうやら原因はその1週間前のことにあるようだった。
「どうだ、仕事分かるか?」と、おっさんは筆者に声をかけてきた時があった。
何気なしに筆者が「はあ、だいたい分かります」と答えたのが、おっさんの気に障ったようだった。
お互いの上司である部長に言わせると、「長年勤めてきたおっさんの気持ちを君は傷つけた。入社してすぐの人間に何が分かるかとおっさんは御立腹」とのことだそうだ。
部長にわざわざ会議室に呼び出されて、そんな話を聞かされて、筆者は唖然として、次に笑いを堪えるのが必死だった。
おっさんは、残念ながら60歳の定年まで勤め上げることができずに、50代半ばで会社都合による退職が決まっていた。
筆者は半ば後任なのだけれども、長年の功労者に対する態度がなっていない、要は謙虚さが足らないということらしい。
おっさんの仕事は作業に毛が生えた程度のものだったので、正直すぐに理解できるものだった。
おっさんの過去の書類を見返すことがあったが、小学生ぐらいの文章力であまりにも酷かったのを今でも思い出す。
そんな実力だったので、思わず「はあ、だいたい分かります」と口にしてしまい、態度にも表れてしまったのだろう。
気の弱い部長は、社内の古参社員たちに気を遣ってか、「谷川君はシロウトだからまだよく分かっていないんだよ」と社内あちこちに吹聴されて、こちらとしては悪いイメージをバラまかれて苦労もした。
ただその部長も50代半ばではあったが、若年性痴ほうが進んでいるようで、筆者の名前を同じ頃に入社した人物の名前としばしば間違えていたので、多少は助かったような気もする。
おっさんの怒りは収まらなかったようで、「あいつを締め上げてやる!」とその後も鼻息が荒かったが、悲しいかな会社都合でのお別れの時間となってしまった。
若い人たちに道を譲っても余裕があるオヤジになれない時点で、長年たいした仕事をしてきていない証拠なのだ。
長年たいしたことがない仕事をしてきたものだから、たいしたことがあることを証明する唯一の方法が、自分の存在感しかないのだが、そこで悲哀を醸し出してしまうのが中高年なのだ。
このおっさん、退職して半年ぐらい経った冬のある日、オフィスの前で立っていたのだ。
「近くに来る用事があったので、ついでに立ち寄った」と、なんともう部外者なのにオフィスに勝手に入ろうとしていた。
ここで、「どうぞ、どうぞ」なんて入室させてしまう企業は、リアルにセキュリティがやばい。
結局のところ、過去の人で部外者であることをご自身で再確認して、木枯らしに吹かれながら寂しく去っていった。
入り口に「再入場禁止」の標識が必要な企業は、この世の中にそれなりの数あるのではないかと思うのだ。
(④に続く)
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